近藤の不思議な強さ?

選手の近藤評をいくつか上げてみると、菊田初戦後「不思議な感じがするっていうけど、確かにそんな感じがした。」菊田二戦目直前「強いやつにもあれだし、弱い相手にもあれだし、よくわからないとこがやる前はあった。」高田本部長「いくつかビデオを見たがつかみ所が無い。」中村「不思議な感じ。強いときは強いし、弱いときは弱い」などという評価をする選手が多い。そして船木は、もっと昔から「近藤は強いのか、弱いのかわからない不思議なとこがある」という評価をしている。

これにほぼ共通するものは、やはり強さにムラがあるということか。ファン的には、強いときと、弱いときの差が激しいと、強いときの期待感を持って見てる分駄目なときにガッカリさせられてしまうことが結構多い選手といえると思う。自分がそれをはじめに感じたのは、百瀬との試合だった。実力者郷野を相手に、圧倒的な内容で勝利したにも関わらず、百瀬というデビュー二戦目の選手に敗れ去ってしまった。そしてリベンジ戦の二戦目では勝利したものの、郷野戦の圧倒ぶりと比べると、苦戦ぶりが目立ち、対菊田に関しては自分は不安を感じる内容だった。

郷野に圧勝したのに、百瀬相手には苦戦してしまうのが、そういう不思議な強さという評価の一端じゃないかと思う。その後菊田に圧倒的な勝利をし、プライド初参戦も勝利でデビューを飾り勢いを増していくが、シウバに敗れた後は、ダメージからかやや勢いを欠いていった。そして2005年大晦日に中村との試合が決定するが、試合前の下馬評では、体格差、そしてランデルマン、ボブチャンチンを破った実績から中村が圧倒的有利という予想が多かった。しかし蓋を開けると、近藤は敗れたとはいえ判定ではブーイングがでるほどの試合内容だった。

この中村戦では久しぶりに近藤の強さが部分部分では現れてた試合だったと思う。ただ、前にも何回か書いたが、試合終始に渡って強さを見せたわけでも無かったと思う。何回か以前に書いたが、近藤の立ち方、構え方のせいで、パフォーマンスが落ちてる時間帯もあった。近藤の不思議な強さという評価は、褒め言葉のように聞こえるが、単に強さにムラがあるというふうにも言い換えられてしまう。そのムラを無くす、つまり試合の終始に渡って一番強い状態を続けることこそが近藤がベストパフォーマンスをすることに繋がっていくことになると思う。

中村戦でのいいパフォーマンスの時間帯はずばり、1Rのハイキックのとき、3Rのサウスポーに構えてる時間帯。この時間帯の立ち方、股関節の捉えが最も強くなってる状態を、試合の終始に渡ってすることが、強さのムラを無くす=常に最も強い近藤を出し続けることに繋げられると思う。それができてたのが、二戦目の菊田戦だと思う。コンディション、動き(パフォーマンス)共にベストを出せた(作れた)のは、近藤のキャリアではこの試合だけといってもいいとも思う。このコンディショニング、パフォーマンスを常にできるようになって初めて、本当の意味で近藤有己というふうに自分は思う。

まずパフォーマンス的には、まずスタンドでは試合終始に渡って、中村戦でいえば、1Rのハイキック、3Rのサウスポーのときの股関節の捉えの強い状態をできるようにすること。差し合いでは、菊田戦二戦目で見せたような圧力の掛け方、グラウンドでは郷野戦初戦で見せたようなハーフガードのパウンドをうまく使えるようになること。そして一番の武器スタミナを生かすために序盤の入り方には注意して、序盤はいきなり前に出ず、少し手数を減らして相手との距離をうまく計って決定打は貰わないのは当然として、簡単にペースをやらないようにする。このあたりがポイントになっていくと思う。コンディション作りは何回か前に書いたの省略。