近藤vs久松と近藤vs百瀬の類似

近藤が久松相手にドローで評価が下がる試合をしてしまったことで、ふと近藤vs百瀬を思い出した。近藤vs百瀬といえば、近藤が郷野をKOし、さらにグラバカ佐藤、石川を連破し破竹の勢いで突っ走っていくかと思われたときに、プロデビュー間もない百瀬相手に負けを喫した試合だ。今の近藤が郷野戦あたりの勢いがあるわけではもちろん無いが、なぜ日本人トップクラスの選手である郷野をボコボコにできる力を持っていた近藤がトップクラスと比較するとやや実績で劣る日本人選手、百瀬や久松に評価を落とす試合をやってしまうのか。

もちろん技術的な問題もあるのだろうが、もう80パーセント以上、90パーセント近くフィジカルが一番充実していたときに比較すれば落ちてしまっていることがその原因である。郷野戦後近藤はウェイトレーニングの強度を落とし体重が落ちて、体幹の筋力、パワーが落ちた。それが百瀬相手に苦戦した一番の原因であると自分は見ている。百瀬相手には再戦でリベンジを果たすが、タックルを取られたり、バックからの打撃で目をとらえられたり、スタンドの打撃戦でも目をカットしてしまうなど、攻め込まれるところも多かった試合だったと思う。

仮定の話だが、郷野戦のフィジカルを維持したまま百瀬と戦っていれば、あそこまで苦戦はしなかったと自分は思う。近藤なりに絞ったほうが動きがよくなって強くなると考えたのだろうけど、自分的にはそれは自分のフィジカルを低下させ、最高のフィジカルのときに比較して無意味にハンディを背負って戦ってしまっているだけだと思う。同じパンチ一個当てるにしても、フィジカルが最高のときとそうでないなら威力が格段に違うわけだし。

今回の久松戦でも郷野戦と同じフィジカルで戦ったなら試合内容は格段に違うものになっていると思う。フィジカルトレーニングで限界までフィジカルを鍛えないのは、無駄に自分のパフォーマンスを下げてしまっているだけだと思う。もちろん選手の中でかならずしもフィジカルトレーニングの強度がそのままパフォーマンスの向上に繋がらない選手もいるとは思う。でも近藤はそうではない。近藤はフィジカルトレーニングの効果がそのままパフォーマンスに繋がるタイプの選手だと自分は思う。それなのに、なぜかスパーリングや技術、ボディコントロール面を重視したトレーニングに偏ってフィジカルトレーニングが一番おろそかになってしまっているように自分には見える。そこが凄くもったいないし、もどかしいと思えてしまう。

なぜ郷野戦まではウェイトトレーニングをがんがんしてフィジカルを目一杯鍛えてきたのに、それ以降しなくなったか。凄くもったいない。それに今ではフィジカルトレーニングの専門的な知識を持ったトレーナーも何人かいて、その人につけば自分で特別メニューを考える必要も無く、最大限フィジカルを高める環境も作りやすいのに、なおのこともったいないなと思う。近年はいつもフィジカルが十分でないまま試合をしていつも評価を下げているのに、コンディショニングの意識の改善をしようとしないのは、理解できない部分が多い。近藤の達人志向、ナチュラルなトレーニング中心で試合に勝ちたいという志向がフィジカル面に対する意識から目を背けさせいるということなのだろうか。

今後近藤にはフィジカルが低下している状態で試合に出て欲しくない。フィジカルが最高潮あるいはそれに準じるフィジカルを作った上で、あるいはそれを作れる環境にした上で試合をしてほしいと思う。若干話がそれるが、KIDに関しても次に試合にあがるときは今のフィジカルが落ちたコンディションではなく、村浜とやったときみたいにばっきばきの体を作ってリングに上がって相手選手をぶっとばしてほしいなと思う。