ハーフガードからのパウンド

専門家の視点は、今週号の格闘技通信の吉鷹弘氏の解説記事を読んでもらうとして、一素人がまた勝手な視点で考えてみた。自分も総合の試合をそれなりに見てるけど、ハーフガードからのパウンドが有効打になった試合はあまり無い様に思う。自分が印象にあるのは、近藤対郷野初戦の2Rの近藤の攻めがやはり一番印象深いが、最近ではノゲイラ対ジョシュでノゲイラが有効に使ってたが、この2試合くらいしか印象に残る試合が無い。こういうようにあまり使われてないのを見ると、あまり有効な攻めにならないという傾向があるから使われないのかなとも思う。

まあそれは置いといて、自分が書くとどうしても近藤中心の内容になるが、あのハーフガードからのパウンドを近藤には研究して、どんどん使って欲しいなと思う。近藤の場合、パスガードに成功して、サイドやマウントを取っても、有効な攻めができず攻めあぐねたり、返される展開が結構多い。ハーフガードは、勿論柔術系の選手なんかはハーフガードからは、巧く返すシーンをよく見るが、意外とマウントなんかよりは、安定させやすい、返されにくいポジションに思える。この特性をうまく使った攻めというのが、もっと出てくるとおもしろいかなと思う。

ハーフガードからのパウンドはインサイドガードに比べると距離を作りにくいところがある。逆にいえば、下からの選手にとっても、足を使ってうまく距離を取るのも難しいともいえると思う。近藤は郷野との試合では、ハーフガードの体勢から、自分のバランスをコントロールして、プレッシャーを掛けながら、体を起こして距離を作って右パンチ、密着した距離の短い状態では、左のパンチを当てて、ハーフガードの体勢ながら、郷野を失神寸前に追い込むほどダメージを与えていた。これにプラスアルファで、前腕でのギロチンも加えて、相手にプレッシャーをさらに加えていた。この三つを使い分ければ、ハーフガードでもスタミナを奪うことは可能じゃないかと思う。ボディブローもコンビネーションで入れられるだろうし。

グラウンドでのバランスのコントロールの仕方だが、体を起こした状態でも、密着した状態でも、股関節の捉えの応用が効くと思う。伊藤昇氏によれば、股関節の捉えは、立ってるときだけでなく、正座した状態や、泳いでる状態でも応用できるとのことなので。なら当然グラウンドでも応用が効くと思うし。これがうまくできれば、抑えこむ際のプレッシャーも一番強められると思う。

そして近藤がインサイドガードになった場合は、左手で、相手の右足をコントロールして殺しながら、右のパンチを振り回しつつ、左の側にパスガードのプレッシャーを掛けてハーフガードの体勢を奪う(イメージ的には宇野が所にやった攻めに近いか)。そして、上記したハーフガードの攻めをして、ガードに戻されたら、また同じように右パンチを振り回しつつ、左へのパスの圧力を加える。これを続ければ、相手のスタミナをかなり奪える攻めができるんじゃないかと思う。ただ相手が凄くボトムポジションの攻防に優れた選手ならこううまくはいかないとも思うけど。

近藤はがぶった状態でのパンチ(ボーリングと呼ばれてるらしいが)は、かなり自分独自の技術、得意な体勢と認識して積極的に使う傾向があると思うが、郷野戦で見せたハーフガードからの、パウンドも近藤独自の得意な技術として認識し、研究して試合運びの中にうまく入れていってほしいなと思う。最後になるが、近藤は、がぶった状態でのパンチ、ハーフガードからの打撃、そして二度目の菊田戦で見せた、差し合いからの打撃など、密着した、距離が短い状態での打撃が、うまい選手だと思う。有効打を打つ隙間が無さそうと思われそうな場所は、ボディコントロール、バランスコントロールを研究、向上してテクニックに応用すれば、意外と攻め手が増えると思うので、近藤に限らずそういう選手も見てみたいなと思う。

近藤がパウンドについて語ったインタビュー
http://d.hatena.ne.jp/iippanashi/20061222