股関節で地面を捉えた立ち方とは(近藤についても)

パンクラス近藤、空手家塚本らが習っている胴体力で股関節で地面を捉えた立ち方という考え方がある。これは詳しくは伊藤昇著「スーパーボディを読む」を一読してほしいが、自分なりの解釈でいうと両足に最も負荷がかからない立ち方ともいえると思う。この立ち方はスピード、パワー、相手の動きに対する反応、ボディコントロールなんかの要素を最大限に引き出せる立ち方だと思う。その人が持ってるポテンシャルを最大限に引き出すことができるとも言い換えられる。全ての動きにおける土台ともいえるかもしれない。この立ち方を試合終始に渡ってすることこそがその日のベストパフォーマンスを引き出すことに繋がるともいえる。対人競技では相手がいる分、そうでない競技よりそこが難しい部分なんじゃないかと思う。

漫画の話だがMAJORという野球漫画で足腰のトレーニングの一環で両足を1メートル以上開いて、3時間立ち続ける。というものがあった。この指導で人間は常にどっちかの足に重心を変えてるからずっと立ってても足が疲れないんだとあったけど、逆にいえば常に両足で立ってられるような立ち方というのは難しいんだという言い表しでもあった。股関節で地面を捉えて立つという感覚を研究して磨けば、両足で立ち続けるというトレーニングのきつさも確実に減るはずだと思う。そんなトレーニングを実際にしている人がいるかは別にして、例えば立ち読みとかの際に30分とか、1時間とか片方の足に重心を変えながらでなく、両足に同じように負荷をかけて立ち続けることをすれば、その感覚を磨く練習にもなるのかなと勝手に思っている。

この立ち方プラスアルファで、胴体力でいう丸める反るという骨盤の動き。これで重心をコントロールすることが無駄や力みの無い体の使い方に繋がっていくと思う。膝を柔らかく使えという表現があるが、これも股関節で地面を捉えた立ち方に丸める反るの骨盤の動きで重心をコントロールすることが自然と柔らかい膝の使い方に繋がると思う。立ち方には足の裏の使い方も関わるがそれもやるとまた長くなるのでそれは割愛。それはさきほど紹介した「スーパーボディを読む」に詳しく載ってます。

この股関節で地面を捉えた立ち方(以後股関節立ち)が常にできてる選手というと、以前触れたWBC世界バンタム級王者長谷川穂積が自分の中では一番できてる選手じゃないかと思う。長谷川は胴体力を習っているという話を聞いたことは無いけど。そして習っているといえばパンクラス近藤有己だけど、私が見る限り近藤はできてるときとできてないときのムラが大きい選手に見える。これが最近のパフォーマンスのムラ、悪い結果に繋がっていると思う。まずできてるときの動きというのが以前http://d.hatena.ne.jp/iippanashi/20061021で書いたときのような菊田戦二戦目や、シウバ戦40秒過ぎ、中村戦1Rのハイキック、3R序盤なんかのときがそう。

近藤はよくオーソドックスに構えることがあるけど、このときは股関節の地面の捉えが格段に弱くなっていて結果パフォーマンスも落ちてしまっている。さきほどあげた伊藤昇著の「スーパーボディを読む」でボクシングのナジーハメドという選手を紹介していたが、この選手はオーソドックスに構えるときは股関節の捉えは強いけど、スイッチしてサウスポーになると途端に捉えが弱まるのでそこを狙われると危ないと書いていた。そして近藤に話は戻るが、中村戦ではスイッチを繰り返していたが、相手を混乱させるという戦略があったのかもしれないが、オーソドックスに構えたときは股関節の捉えが弱まりパフォーマンスが確実に落ちていた。ただ1R最後のスタンドになった終盤と2Rのサウスポーのときも若干股関節の捉えは弱い状態であった。それなのに一番最後の3Rに股関節の捉えが最も強くなるのが不思議なとこではあるが・・・。

バローニ戦では開始早々から最後まで(という25秒の試合だが)オーソドックスに構え、股関節の捉えが弱いところを突かれた。ただ松井戦、レノグ戦では終始サウスポーに構えたせいか、股関節の捉えはある程度できていた。ただレノグ戦では股関節の捉えはできていたが、相手選手の距離の取り方に苦戦していたので、今度の再戦では、相手の距離の取り方に対してどういう対策をとれるかが鍵というところか。これもhttp://d.hatena.ne.jp/iippanashi/20061021で以前書いたことだが。レノグ戦では、終始股関節の捉えの強い状態を保ちつつも、距離を取るレノグを捕まえ完勝して、完全復活をアピールすることを近藤には期待している。[rakuten:book:10736976:detail]