両差しからの膝

差し合いの状態での膝について考えてみた。まず差し合いの技術でいえばグレコローマンの技術が中心になってくると思うが、その辺は当然専門家の意見を読んでもらいたいが、あくまで素人視点で。差し合いの状態で必要なのは、自分は股関節で地面を捉える立ち方だと思う。その質を上げることが差し合いの技術向上に繋がると思う。この質を高めれば、下半身に意識をもっていかなくても(足技の対応も含めて)自然ともっともいいバランスが取れるし、上半身の差し合いの攻防に意識を集中できると思う。足技の攻防の技術も股関節の捉えありきだと思う。

そして股関節の捉えの質を高めれば下半身の攻防への意識が多少低くて済むので、上半身の差し合いの攻防への意識が結果高まると思う。机上の空論だけでいえば、差し合いになる一歩前の段階でこの股関節の捉えの上に、右手も左手も肩から肘にかけて脇腹と隙間なくひっつければ(力んでひっつけると攻防の対応が疎かになるので胴体力の考えに沿って力みなく)、片方も脇を差されることは無くなる。いったん両差しになった状態のときも股関節の捉えの上に、肩から肘の脇腹への密着度を高めれば脇を差し返されることはできなくなると思う。素人視点で差し合いの技術を高めるために必要なのは、まず股関節の捉えの質、意識を高めることと、股関節の捉えありきの上に、グレコローマンの技術を高めていくことだと思う(足技の攻防はフリースタイルレスリングや柔道の技術か)。

脇差し(お互い右差しを例に)になったとき(クラッチが組まれる前)も素人視点で考えると、それも股関節の捉えありきの上に、肩甲骨(胴体力でいえば肩の細分化)の稼動域を広げた上でそれを使って、スペースを空けた一瞬の隙に左腕を差し返すことができればいいんじゃないかなと思う。

そして両差しを取れたあとの攻防。コーナーまで押し込んでいければそれが一番ベストだが、まずリング中央あたりの場合。これはジャクソンvsランデルマンでのジャクソンが両差しから膝を連発してスタミナを奪っていたがあれが一番いい攻撃だと思う。これをする上で必要なのは、まず股関節の捉えでバランスを取った上で、胴体力でいう、丸める、反るの動き(簡単にいえば骨盤を前後させる動きだが、詳しくは伊藤昇氏の胴体力の本を読んでほしい)。これで自分の体をコントロールしながら丸める反るの動きを使ってスペースを空けたところを膝で突き上げる攻撃が望ましいと思う。

コーナーに両差しの状態で追い込めた場合も、差し返されないように注意しつつ、圧力をかけながら、相手が入れ替えようとしようとしたときは、その動きも股関節の捉えで力みのない状態を作って敏感に察知できる状態にしながら、入れ替えようとする動きを先読みして潰して入れ替えさせないようにしつつ、コーナーにはりつけ状態にして、丸める、反るの動きでスペースを作った隙に膝を入れていく。あるいははりつけ状態から逃がさないようにしつつ腿への膝攻撃を打っていく。肩のパンチも力みのない状態を作ることと体をコントロールすることに長けた選手ならその体勢から造作もなくできると思う。この辺の動きの例は近藤vs菊田二戦目や、近藤vs石川二戦目が参考になると思う。両差しで押し込んだ体勢から肘の内側を手で制して、スペースを空けた隙に膝を入れる攻撃も有効になると思う。