前蹴り

今回は前蹴りをまた素人視点で考えてみた。前蹴りは自分の中では二種類あるが、まず一種類目にあげられるものが、ブアカーオが2004MAXトーナメントを制したときの、主に踵側で蹴り上げる形。ブアカーオがこの前蹴りを途切れることなく連発で出していく姿がファンにかなりインパクトを与えていた。ブアカーオの場合、ボディだけじゃなく、顔面にも飛んでくるのでそれが見る側へのインパクトを増していた。ただ最近はパンチに自信を深めたのか、前蹴りの数も減りつつあるが。

そしてもう一種類のほうで上げられるのが、つま先側というか、指の付け根(主に親指の下)側のほうでボディを蹴る前蹴り。こちら側は一見かなり地味に見える。前述したブアカーオのものと比べると特に。後者の側の前蹴りで印象深いのは、K−1世界王者シュルトの左の前蹴り。一見凄く地味だが、シュルトはこの前蹴りで、アーツ、グラウベといったトップ所を相手にしても効かすほどの威力を発揮していて、左ジャブと並んで主武器の一つになっている。ボディ攻撃ということでスタミナを奪う程度かと思いきやシュルトの場合は完全にダメージを与えるもので、下手したらダウンを奪うほどのものにもなっている。

それ以外の試合で言うと空手家野地が、タフさが売りのプロレスラー杉浦相手に前蹴りを効かして嫌倒れさせることもあった。パンクラス近藤もタフさが売りになっている松井を相手に前蹴りを効かして、松井がうずくまるようなシーンも見られた。ボディへの蹴りというとミルコのようなミドルキックがどうしても印象に残りやすいが、意外と前蹴りも、ダメージを与える攻撃になっていると思う。総合に関して言えば、ミドルキックよりも前蹴りのほうがキャッチされにくいという側面はあるような気もするし。デメリットとしては、前蹴りは当たり所を外すと、足の指を痛めるということもあるようだ(ローキックやミドルキックも脛が固いところにあたると自分のほうが痛いことも多いようだが)。

修斗ライト級王者リオン武も前蹴りを使うようになったと吉鷹氏が解説でもいってたし、打撃専門として歴史が長いキック系の試合は置いといて、総合のほうなら、前蹴りでスタミナを奪っていく試合運びがこれから結構見られるかもしれない。最後に近藤の話になるが松井戦では前蹴りを多用して試合を有利に運んでたのに、郷野を相手にするとキャッチされやすいミドルキックのほうを多用してたが、あれが自分には少し疑問だった。近藤なりの考えなのか、足の指でも怪我してたのか、郷野のようの下がる試合運びをする選手には使いづらいのか、その辺はわからないが近藤の場合はミドルキックより前蹴りを多用するほうが合っているように思うので今後の試合ではそうしたほうがいいかなと思う。