近藤の距離感を勝手に考える

近藤のパフォーマンスに距離感の出来が関わることが多いと思うので、過去のいくつかの試合から勝手に考えてみた。こと距離感に関してはデビュー、1,2年目のほうが最近よりよかったように感じる。いくつか上げてみると、フランク戦、メッツァー二戦目、高橋戦だが、これらの試合においては、どっしりサウスポースタイルに構えてじっくりプレッシャーを掛けながら、相手がそれを嫌がって飛び込んでくれば、飛び込み際にカウンターを合わせる、あるいはバックステップで距離をコントロールして、そこからカウンターを当てる、それをきっかけにラッシュする試合運びが多かった。

打撃に自信を持つ高橋も、近藤を相手にすると、近藤の距離感と当て勘で立ち技で苦戦し、タックルにいくシーンも多かった。近藤の場合この距離感が正確なとき、得意の当て勘が最大限に発揮されるし、ラッシュする際にカウンターを食らうことも少なかった。ただこの頃でも右構えにすることがよくあったが、そのときも距離感は格段に落ちていた。

そして最近に話を戻すが、最近この距離感が欠ける傾向にあると感じることがあった。バックステップで距離をコントロールすることがあまり無くなり、前にプレッシャーを掛けるだけの試合運びが多く見られるようになる。シャノン戦あたりから特にこの傾向を感じるようになった。PRIDEにおけるシウバ戦、ダンヘン戦、中村戦、バローニ戦辺りもその傾向があった。スペーヒー戦も、開始早々組み付かれてしまっていたが、デビュー当時の距離感の近藤ならバックステップで距離を計っていたかもしれない。その原因だが、ずばりボクシング練習に偏り始めたのが原因のように思える。

近藤がボクシングを本格的に練習に取り入れるようになった正確な時期はわからないが、デビュー1,2年目の段階ではそこまで取り入れてなかったのでは無いか?と思う。ボクシングの練習の成果で、ダッギングやヘッドスリップで避ける技術は確かに高くなっていたが、バックステップで距離をコントロールする距離感が欠けてきたように思える。これが最近のスランプ?の一因に思える。ボクシングの練習でボクシングの技術を高めるのはいいが、近藤特有の距離感そこから派生する当て勘が欠けてしまうのは本末転倒にも思えるし、ディフェンス面においても、、距離感ありきの上に、ボクシング的なディフェンスをする方がいいとも思うし。

ただバローニ戦で痛い目にあって、松井戦以降距離感という面に関しての感覚がかなり戻ってきたように思えた。近藤なりにそこの意識を高めた練習をしているんじゃないかと勝手に思う。そしてレノグ、郷野といった、距離を取ったアウトボクシング戦法の相手にし、切り崩すのに苦戦してたが、これは近藤の距離感というよりそういう相手への経験、対策が不足していたことが理由にあったように思える。この2試合においても近藤の距離感、バランスはそれなりによかったように思えた。そういう意味では、立ち技においては、いいときに戻りつつあるように思える。あとはコンディショニングとグラウンド(主にパウンド)が近藤復活の鍵なんじゃないかと思う。