柔道の掛け逃げとアウトボクシングとルール

先日の柔道全日本選手権で、昨年度王者の石井が、準決勝で井上康生を破ったが、この試合での石井の戦略が「康生先輩とまともに組み合ったら、不利になるから、釣り手を取ったら、引き手を取らずすぐに体落としにいく戦法を考えていた」と、この戦法を試合終始に渡って実行し、井上相手に2−1ながら旗判定で勝利した。この試合を解説した篠原氏は「技を掛けにいってたのは康生のほうだったと思う」と暗に石井の戦法を掛け逃げといってるようにも思えた。

詳しい人は、石井の戦法は国内ルールだと、問題無いが、国際ルールだと掛け逃げの反則を取られるんじゃないかという指摘をする人もいた。あの石井の戦法はルール次第では、有効で無くなる戦法だったのかもしれない。

そしてボクシングや総合の話だが、そこで使われる戦法の一つにアウトボクシングがあるが、これは距離を取ることありきの試合運びで、ロングレンジで打って、離れるを繰り返すヒットアンドアウェイ、相手が焦れて突っ込んできたらそこをカウンターで狙い打つ戦法。これを柔道でいう掛け逃げと同じじゃないか?という指摘をする人がいたが、それを聞いてなるほどなと思った。石井の考えたとにかくまともに組み合わない試合運びと、距離を取ることありきで打ち合いを徹底的に避ける試合運びは似ていると感じるとこもある。

以前も書いたが、こういう戦法を取る選手には、もっとアグレッシブに戦えと注意できるようなルールが格闘技においては、個人的には望ましいと思う。少なくとも判定であまり評価しないようにするとか。リスクを極力減らしたアウトボクシングをする選手を攻略するにはかなりリスクを背負った攻めが必要になるわけだし、アウトボクシングしない選手だけがリスクを負わなきゃいけないというのは納得しにくい部分がある。ボクシングくらい歴史のあるスポーツなら難しいと思うが。関係無い話になるが、アウトボクシングをする選手はディフェンスがうまいと評されることが多いが、試合において打ちあう時間を極力減らしてるわけだし、柔道で言えば徹底的に組み合わない石井の受けを強いといってるようなものと同じに聞こえるので、あまりうまいとは自分は感じない。