勇気のチカラ振り返り

印象に残った3試合を振り返ります。
まずアリスターvsバダハリ
アリスターは打撃がうまいといわれるが、個人的には膝や差し合いのコントロールはうまいけど、距離を取ったパンチやキックあとディフェンスはうまくない印象があって、実際パンチでKOされたりしてる試合もあった。ただ最近ハント戦あたりから距離感がしっかりしてきて、パンチのディフェンスも以前に比較すればよくなっていた。ただハント戦もミルコ戦も前かがみのような立ち方であれでは利点である上背が消えてしまうし、パンチにしても体幹の力が加わりにくいものになってしまうので、対バダハリ戦は技術的な理由で不利になると思っていた。

だが今回の試合では以前の構えよりアップライトな自然体に近いたち方になっていて(K−1ルール仕様なのかもしれないがMMAでもあのほうがいいと思う)上背や体幹の力を生かしやすくなりパンチにしても今まで見られなかった体幹の力を伝えたショートのパンチの技術が非常によくなっていたのがびっくりした。今回バダハリを倒したことでどれくらい人気が出るのか、主催者にプッシュされるのか、どういう使われ方をしていくのか見えない部分があるのでそこにも注目していきたい。逆にバダハリは一ヶ月で4回もダウンしてて、決勝で失格にもなり肉体的にも精神的もダメージが心配なので、あまり無理をして欲しくないなと思う。

青木vsアルバレス
もちろんアルバレスをあっという間にしとめた青木は素晴らしいのだが、ただ足関節で極まるというは極められた側の不用意さが大きいように思えてしまうのも確か。例えば以前で言えば北岡がコンディット(現WECウェルター級王者)にヒールホールドで勝ったり、今成がマイクブラウン(現WECフェザー級王者)に足関節で勝ったりしたのも素晴らしいのは確かなのだが極めた選手が素晴らしいというより、極められた相手の不用意さ、まずさのほうが印象に残ってしまう部分もある。例えば以前和田レフェリーが足関節だと一瞬的に極まってしまうことがあるが、上半身の技は完全に実力で取る技だみたいなことをいっていて自分もそういう印象を持っているところもある。あくまで私見ではあるが。

田村vs桜庭
桜庭のコンディションの悪さが限界を超えてしまっている分あの試合内容がある種限界の部分があると思う。VTという試合形式の以上田村が関節を取りに行くより、打撃中心で攻める戦法は完全に正しいと思うし桜庭のコンディションがベストに近かったならあの田村の戦法に対してももっと違う展開だったりスリリングな内容が期待できたと思う。もちろん後の祭りなのだが。

この試合に関しては技術論よりやはりお互いの背景を考えて(得られる情報から勝手に想像してだが)試合を見るのが自分的には一番おもしろい。2R立ち技で攻めるのを明らかに躊躇している(ように見える)田村というシーンは今までのMMAではありえないシーンだったと思う。変な話秋山ならまったく躊躇せず打撃で桜庭を壊しにいっただろうし。あの場面はやはり壊れる寸前の後輩桜庭を壊すことはできなかったというそういう表れだったように思える。それ以降の田村はもう試合を動かさず、桜庭が壊れないことを考えて試合を運んだと自分には思えた。まあとにかくあの田村のほうからタックルにいったシーン以降で田村のこの試合に対して、桜庭に対して(シャツの背中の39もやっぱり桜庭に掛かっていると思う)の思いみたいのもを勝手に想像して(桜庭の田村に対する印象はやっぱりいやな先輩というものなのかなとは思うが)、勝手に自分の中で完結するみたいなそんな試合だった。

田村は正直いいとこどりしたり試合を選んでる印象はあったし、桜庭がぼろぼろになったタイミングだからこの試合を受けたみたいにまでいわれたりもするが、2R正直倒すチャンスがあるのに倒さない田村を見て対桜庭ということに関しては、ぼろぼろの英雄桜庭に勝っておいしいとこを持っていくみたいな単純な話ではないのかもしれないと思った。あのぼろぼろの桜庭を容赦せずKOしたら後味が悪くなって田村の印象が悪くなるから手を抜いたみたいないわれ方もするが、この二人の関係というのを考えると先輩後輩という関係がそうすることができなかった一番の理由なんじゃないかと自分には思えた。