近藤とトレーナーとコンディションの関係をキャリアから考える

前書いたことと繰り返しになるかもしれませんが、あえてまたまとめて書きます。近藤といえばパンクラス入団して初期は船木に付くことで肉体づくり、コンディション作りについて学んできて、一時王座戦や道場が分かれることで離れる時期もあったにせよ、船木のヒクソン戦前後からほぼマンツーマンでトレーニングをするようになった。この時期の近藤の体つきは船木が課した厳しいウェイトトレーニングの効果でかなりビルドアップされており、打撃の破壊力という面ではかなりのものがあった。

正確な時期はわからないが、船木のマンツーマンの指導もある時期を境に無くなる。近藤は最初の郷野戦以降はウェイトトレーニングの頻度を減らし、パワーより動きやすい体、切れを重視するようなコンディション作りになっていった。実際最初の郷野戦の2002年以降は最初の郷野戦に比較すれば体重も2キロ前後軽くなり、体つきもやや締まったものになっていった。それでもナチュラルな体幹の力強さは失われず菊田、マリオスペーヒーら強豪選手を連破していく。

その後、プライドのライトヘビー級93キロでは、100キロ前後から落としてくる相手のパワーの前にナチュラルで87キロ前後の近藤は当然のように苦戦し、適正階級への転向へと移行していくことになるのだが、この移行の段階の初めての減量で近藤のナチュラルなコンディションが落ちてしまう。近藤は83キロで戦うにあたって、ナチュラルな体重87キロ前後から一ヵ月半を掛けて体重を82,1キロまで落としたのだが、その減量が結果的に近藤の体幹の力強さが失わることに繋がってしまった。

結果論になるが、この体重調整のやり方でベストの方法は、ナチュラルな87キロ前後で戦っていた調整のやり方と変えずに、計量当日、前日。あるいは計量一週間程度で水分をカットすることで体重を調整することだったと思う。それをすれば近藤の体幹の力強さが失われることはおそらく無かったと思う。その後数試合するが、近藤はフィジカル、コンディション的には最初の郷野戦以降と同じようにあまりウェイトトレーニングに力を入れないナチュラルな調整法を変えることはおそらくしなかったと思う。そのことが近藤のコンディションがベストのときに戻らない理由ではないだろうか。

体幹の力強さが失われたバローニ戦以降、コンディションが戻らないまま試合を続ける近藤だったが、唯一いいときに多少近づいた試合がROFでの試合だった。この試合ではジョシュのもとで3週間トレーニングをしその期間ジョシュはかなり厳しいコンディショントレーニングを近藤に課しその結果、体幹の力強さがいいときに多少戻った近藤になっていた。仮にそこにずっと残って同じようにトレーニングをしていたならさらに体幹の力強さが戻りベストコンディションの近藤になっていただろうが、日本に帰ってきて以前のあまりウェイトトレーニングに力を入れない、ナチュラルな調整法に戻ったせいで以前のバッドコンディションの近藤に戻っているのが現状だと思う。

ここから考えると近藤をベストコンディションに戻すのはやはりフィジカル、コンディショニングを見てくれるコーチ、トレーナーが近藤には必要ということになると思う。技術や感覚的には、今の近藤はいいときにかなり近いと思う。ここにベストコンディションが戻れば、最高の近藤有己が常に試合で見られる状況が整うはず。勝手にトレーナーの候補を挙げるなら、格闘技関係に精通していてある程度体重調整の知識もあるトレーナーがいいと思うので、岡見についているトレーナーか、足立光氏か、全日本プロレスの選手を見てたりする桑原氏あたりなんかどうだろうか。まあ誰でもいいというか近藤とうまくコミュニケーションを取りながらコーチできることのほうが重要になってくるかもなのでその点考えると廣戸氏がしっくりきそうだが、勝手な思い込みではウェイト系のトレーナーはあまりやってないような気もする。まあなんにせよなるべく早いうちに日本で専属のトレーナーを付けてもらいたい。

近藤の不調の原因というのは、技術、試合運び、距離感、コンディションといいときと比較すれば一個一個悪い部分があってそれが重なることで起きていたと思う。でも最近の試合を見る限り技術、試合運び、距離感の面においてはいいときと遜色なくなりつつなってきている。ただコンディションの面においてのみはバローニ戦での減量によって体幹の力強さが失われている状態が現時点も変わらず続いている(ROFで若干いい状態に戻ったのだが)。だからこそ今近藤の必要なことが体幹の力強さをいいときに戻す練習内容(具体的にはジョシュに施されたようなコンディショントレーニング)にしてグッドシェイプを取り戻してそれを維持しつつ、今の動きができるようにしていくことだと思う。