73キロ級を考える

今回五味がディアズに敗れたことで、73キロ級がどうだ、この試合は体格差があったという議論がされるがそのことについての感想を。まず73キロ級はプライド以外のプロモーションには無い(ブラジルなんかではプライドに準じてその階級のトーナメントなどがあるが)階級であるということ。そしてこの73キロという階級は五味が70キロ級で、ハンセン、ペンに敗れたあと2004年2月にプライド初参戦をし誕生する。

73キロ級黎明期は五味と共にあるので、五味の戦績を振り返ってみるが、五味の戦績で実績のある選手との戦いはまずパルバーだが、パルバーはその年の7月まで65キロで戦っており、その年の12月に73キロ級での試合では、元々70キロ級で、一年近く73キロ級で戦ってきた五味とでは、73キロにおける順応度では雲泥の差があった。

次はアゼレードで、彼は76キロの選手で始めて73キロに落としてくる相手との試合だったが、アゼレードは76キロ近辺の階級ではそれほど実績を残した選手でも無かった。次は当時修斗世界ウェルター級王者川尻。川尻はその年の5月まで70キロで戦っていて、7月に71,5キロ契約、そして五味戦が始めて73キロ級での試合だった。五味は一年半以上もの間73キロ級で戦っておりこれも階級の適応度に大きな差があったことは否めない。

次にマッハと戦うが、76キロ級の本来の階級でもピークを過ぎた感があり、73キロでは減量苦でパフォーマンスが低下する傾向がある選手。そしてアウレリオ。彼は元々70キロ級だが、プライド初参戦からずっと73キロ級で戦っていて、73キロ級への適応がかなりできてる選手。ただ石田、三島に負けていることから実力、実績には疑問符も。

次はアウレリオに勝った石田と戦うが、石田は70キロ級においても体格は小さいほうで、73キロ級ではいわずがな。そして先日のディアズ。彼は超激戦区UFC77キロ級でそこそこ活躍できる選手で、なおかつ73キロ級に無理なく落とせまさに73キロ級のためのような選手。ちょっと長くなったが振り返ると、五味の73キロ級の試合において、階級の不公平さが無い試合は、以前も書いたけど、アゼレード、マッハ、アウレリオ、ディアズの4人だけだったと思う。そして73キロ級がどういう階級になっていくのか。

77キロ近辺から73キロ級に落とす(落とすことが出来る)選手にとっては、この階級の世界最高峰のUFCでトップを目指すより、遥かに楽な環境での試合になるから、トップを目指すならまさにうってつけの階級になる。ディアズが五味を破ってそれを証明した形になった。70キロ級から上げる選手にとってはどうか。五味のこの戦績を振り返ると、70キロ級の選手が、73キロに適応するには、かなりの時間が必要なことと、色んな意味でのリスク(例えば70キロで戦うために作ってきた体を放棄して73キロ級の体を作り直さなければならなかったり、適応してる際の試合での体格的な不利)を伴うことがわかる。

それを承知でプライド73キロ級に参戦するか(色んな政治的理由でそうせざるを得ないことも多いが)、適正階級で体を作り直す必要が無い、他の70キロ級のビッグプロモーション、UFCやHERO’Sを目指すか。どっちか選択することになっていくんじゃないかと思う。プライドの流れ的に73キロ級のリミットを変えることは無さそうだが、今後また70キロ級の選手がプライドに上がることがあるなら苦戦は必至だと思う。特に日本人選手は。メレンデスみたいに元々65キロ級なのに、いきなり73キロ級で暴れまくってる化け物みたいな選手もいるが、日本人ではちょっと真似できなさそう。